| 伊藤乙次郎 述/志村俊司 編 |
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| 森と湖とケモノたち |
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中禅寺湖畔に生まれ、そこを離れることなく暮らしてきた男の物語り。山が好きで、魚とりが好きで、猟が好きで…。
家は千手ヶ浜のほぼ中央にある。庭先から中禅寺湖畔がひろがり、その向こうには男体山が望まれ、しかも樹齢数百年に及ぶニレ、ナラ、カエデ、カンバなどに囲まれ、近くに人家はない。溜息が出るほどすばらしい場所だ。 湖水から白根山、錫ヶ岳、奥日光の山々へと連なる広大な森林は、野鳥の天国であり、春には、そのさえずりがうるさいほどだという。そこにはクマ、シカなど、イノシシを除く本土のすべてのケモノたちが棲み、夜ともなれば庭先にまで姿を見せる…。 | |
1903年(明治36年)10月20日、
栃木県日光市中宮祠に生まれる。
登山・狩猟を好み、ヒメマス釣りと
観光船の船頭をして生計を立てる。
昭和初年、中禅寺湖・千手ヶ浜の東京・アングリング・エンド・
カントリー・クラブの管理人となる。
クラブ解散後は中禅寺湖の猟師となり、
そのかたわら狩猟を続け、林野監視員を務め、
自然保護・人命救助などで度々表彰を受ける。
(株)白日社代表取締役。東京大学文学部フランス文学科卒業。
図書新聞を振り出しに、総合雑誌「日本評論」の編集長、
紀伊国屋書店編集部長、竹内書店編集部長を経て、昭和48年に
白日社を創業、現在に至る。
まえがき
◆森と湖に生きて
◇湖畔に生まれて
――女人禁制・女道/オヤジは旅館を継がず仕立屋になった/
昔は中禅寺湖の水でコメといだり茶碗洗ったり/昔はウマ飼った家が多かった/
お金とりにヒメマスを釣った/兵隊検査と関東大震災
◇山が好きで
――はじめて尾瀬へ行った時/そのとき長蔵さんにはたいへんお世話になった/
はじめて桧枝岐へ行った時/その時分、あすこの人たちはひどい生活をしてた/
はじめて尾瀬の燧に登った時/黒部は吊り橋がおっかなかった
◇釣りクラブの管理人
――東京・アングリング・エンド・カントリー・クラブ/わたしはその釣り場の管理人になった/
その頃ここらには山仕事の人がいた/女人禁制だったクラブハウス/
理事長のハンターさん/釣りでも鉄砲でもハンターさんはわたしらとは違った/
もう一人のイギリス人/クラブ員の釣り/ゴルフも玉突きも釣りも同じ考え
◇管理人の仕事
――嫌だった密漁の監視/養魚場の仕事/たいへんだったマスの採卵/
中禅寺湖はめったに凍らない
◇結婚・終戦前後
――結婚式ではじめて相手の顔を見た/徴用・終戦
◇漁師
――池で魚飼ったり湖水で魚とったり/ウグイはいくらでもとれた/ウケ漁と投網漁/
魚は始末するのがたいへん/ウナギは置き鉤、コイはヤスで突く
◇いろんなことがあった
――フランス婦人の遭難/吹雪の中の捜索/これはドイツの子供、もう少しで凍死/
密猟者/キノコと山菜
◆ケモノたち・狩猟
◇ケモノたち
――ここらはケダモノだらけ/テン・イタチ・タヌキ/キツネ・昔のキツネとり/
アナグマ/バンドリ:ムササビとモモンガ/オコジョ・カワネズミ/
カモシカ/今はどこででも見られる/あいつは目はデレスケでバカだから/
サル/カワウソとオオカミ/鳥/鳥も少なくなった/
昔は山ん中に魚が落ちていた/クマタカにはひどい目にあった
◇猟
――ここらの鉄砲ぶち/皮足袋は大きいシカの足で作る/
山へ行ったら腹なんか減らない/鉄砲ぶちの嫌ったもの/こんなことがあった/
うち損じることだってある/クマでもシカでも獲ったらまず腹を割く/
鳥うちもやったけど/鉄砲はみんな湖水へ沈めちゃった
◇イヌ
いいイヌはめったにいない/イヌを仕込むには根気がいる/
クマはイヌに吠えられると木に登っちゃう/イヌは臭いでケダモノを探す/
イヌの鳴き方で何でもわかる/イヌのお陰で二回助かったことがある/
ケダモノには日本犬系統/神様にお礼参りしたイヌがいる
◇シカ
――今はふえすぎちゃった/冬ダチ/シカは人の立ち小便のあとを掘ってなめる/
水に入るシカ/シカの角/ロクジョウはたいへん高価なもんだった/
虫に悩まされるシカ/シカの皮
◇シカ狩り
――シカは勢子を使って追ってとる/そんなにとれるもんじゃない/
シカはイヌに咬まれたら弱い/シカの待ち猟/ションベン焼けと高矢/
シカうちにはバリカンてことがある/素手でシカを捉えた人/シカ笛
◇足尾の猟師・チャラキンさん
――ひょうきんで面白え人だった/足尾の鉱毒事件では最後まで闘った/
足尾の猟師は……
◇シカの内臓と肉
――百ヒロは少しウンコが残っているほうがうまい/肝臓の刺身は最高、肉も刺身がうまい
◇クマ
――クマの食べ物/ウワミズザクラとシュリザクラ/秋はナラの実を腹一杯たべる/
クマの胆とテンの胆/クマにはまだ分かんないことが多い/クマにも大柄・小柄がある/
クマには虫歯が多い/クマは泳いで湖水を横断する/泳いでるクマにやられた人がある
◆クマうち
◇秋グマ
――ナラの木に登っているクマ/下のやつぶっぱずしたら、もう一匹木の上にいた/
秋グマ探すときはイヌを使わない/親が子を木に登らせる
◇穴グマ
――穴グマはイヌが見つけて吠える/イヌが吠えても出ねえやつがある/
小っちゃなネコくれえの子を抱いていた/その子はかわいかったですよ(奥さんの話)/
不発で危ないとこをイヌに救われた
◇出グマ
クマは春、いきなり穴から出ないもんだ/子イヌに胆をいたずらされちゃった/
本気で逃げ出したらクマは速いから/クマをとってから/クマは皮をむくのがいやだ/
クマのバラし方/頭と内臓/肉と脂
◇夜とったクマ
夜、ナラの木に登ってた/もう子のあるやつは撃つのをやめようと思った/
◇そして今は
――木は伐ったらだめだから/わしは薪の心配さえしてればいい/
とうとう“仙人”にされちゃった。
あとがき