森と湖とケモノたち

●伊藤乙次郎 述/志村俊司 編 ●定価(本体1900円+税)  

白日社《聞き書きシリーズ》


中禅寺湖で漁師をしながら、山に入ってシカを狩りクマを獲った“日光の仙人”の体験談!
森と湖とケモノたち
伊藤乙次郎 述/志村俊司 編   著者紹介
森と湖とケモノたち   目次
     品切れ。増刷未定

 中禅寺湖畔に生まれ、そこを離れることなく暮らしてきた男の物語り。山が好きで、魚とりが好きで、猟が好きで…。

 家は千手ヶ浜のほぼ中央にある。庭先から中禅寺湖畔がひろがり、その向こうには男体山が望まれ、しかも樹齢数百年に及ぶニレ、ナラ、カエデ、カンバなどに囲まれ、近くに人家はない。溜息が出るほどすばらしい場所だ。
 湖水から白根山、錫ヶ岳、奥日光の山々へと連なる広大な森林は、野鳥の天国であり、春には、そのさえずりがうるさいほどだという。そこにはクマ、シカなど、イノシシを除く本土のすべてのケモノたちが棲み、夜ともなれば庭先にまで姿を見せる…。

  • 四六判 上製
  • 250ページ
  • 定価(本体1900円+税)

  • ■著者紹介

    伊藤乙次郎(いとう・おとじろう)

    1903年(明治36年)10月20日、
    
    栃木県日光市中宮祠に生まれる。
    登山・狩猟を好み、ヒメマス釣りと
    観光船の船頭をして生計を立てる。
    昭和初年、中禅寺湖・千手ヶ浜の東京・アングリング・エンド・
    カントリー・クラブの管理人となる。
    クラブ解散後は中禅寺湖の猟師となり、
    そのかたわら狩猟を続け、林野監視員を務め、
    自然保護・人命救助などで度々表彰を受ける。

    志村俊司

    (株)白日社代表取締役。東京大学文学部フランス文学科卒業。
    
    図書新聞を振り出しに、総合雑誌「日本評論」の編集長、
    紀伊国屋書店編集部長、竹内書店編集部長を経て、昭和48年に
    白日社を創業、現在に至る。

    ■目次


    まえがき
    ◆森と湖に生きて
    ◇湖畔に生まれて
    ――女人禁制・女道/オヤジは旅館を継がず仕立屋になった/
    昔は中禅寺湖の水でコメといだり茶碗洗ったり/昔はウマ飼った家が多かった/
    お金とりにヒメマスを釣った/兵隊検査と関東大震災
    ◇山が好きで
    ――はじめて尾瀬へ行った時/そのとき長蔵さんにはたいへんお世話になった/
    はじめて桧枝岐へ行った時/その時分、あすこの人たちはひどい生活をしてた/
    はじめて尾瀬の燧に登った時/黒部は吊り橋がおっかなかった
    ◇釣りクラブの管理人
    ――東京・アングリング・エンド・カントリー・クラブ/わたしはその釣り場の管理人になった/
    その頃ここらには山仕事の人がいた/女人禁制だったクラブハウス/
    理事長のハンターさん/釣りでも鉄砲でもハンターさんはわたしらとは違った/
    もう一人のイギリス人/クラブ員の釣り/ゴルフも玉突きも釣りも同じ考え
    ◇管理人の仕事
    ――嫌だった密漁の監視/養魚場の仕事/たいへんだったマスの採卵/
    中禅寺湖はめったに凍らない
    ◇結婚・終戦前後
    ――結婚式ではじめて相手の顔を見た/徴用・終戦
    ◇漁師
    ――池で魚飼ったり湖水で魚とったり/ウグイはいくらでもとれた/ウケ漁と投網漁/
    魚は始末するのがたいへん/ウナギは置き鉤、コイはヤスで突く
    ◇いろんなことがあった
    ――フランス婦人の遭難/吹雪の中の捜索/これはドイツの子供、もう少しで凍死/
    密猟者/キノコと山菜

    ◆ケモノたち・狩猟
    ◇ケモノたち
    ――ここらはケダモノだらけ/テン・イタチ・タヌキ/キツネ・昔のキツネとり/
    アナグマ/バンドリ:ムササビとモモンガ/オコジョ・カワネズミ/
    カモシカ/今はどこででも見られる/あいつは目はデレスケでバカだから/
    サル/カワウソとオオカミ/鳥/鳥も少なくなった/
    昔は山ん中に魚が落ちていた/クマタカにはひどい目にあった
    ◇猟
    ――ここらの鉄砲ぶち/皮足袋は大きいシカの足で作る/
    山へ行ったら腹なんか減らない/鉄砲ぶちの嫌ったもの/こんなことがあった/
    うち損じることだってある/クマでもシカでも獲ったらまず腹を割く/
    鳥うちもやったけど/鉄砲はみんな湖水へ沈めちゃった
    ◇イヌ
    いいイヌはめったにいない/イヌを仕込むには根気がいる/
    クマはイヌに吠えられると木に登っちゃう/イヌは臭いでケダモノを探す/
    イヌの鳴き方で何でもわかる/イヌのお陰で二回助かったことがある/
    ケダモノには日本犬系統/神様にお礼参りしたイヌがいる
    ◇シカ
    ――今はふえすぎちゃった/冬ダチ/シカは人の立ち小便のあとを掘ってなめる/
    水に入るシカ/シカの角/ロクジョウはたいへん高価なもんだった/
    虫に悩まされるシカ/シカの皮
    ◇シカ狩り
    ――シカは勢子を使って追ってとる/そんなにとれるもんじゃない/
    シカはイヌに咬まれたら弱い/シカの待ち猟/ションベン焼けと高矢/
    シカうちにはバリカンてことがある/素手でシカを捉えた人/シカ笛
    ◇足尾の猟師・チャラキンさん
    ――ひょうきんで面白え人だった/足尾の鉱毒事件では最後まで闘った/
    足尾の猟師は……
    ◇シカの内臓と肉
    ――百ヒロは少しウンコが残っているほうがうまい/肝臓の刺身は最高、肉も刺身がうまい
    ◇クマ
    ――クマの食べ物/ウワミズザクラとシュリザクラ/秋はナラの実を腹一杯たべる/
    クマの胆とテンの胆/クマにはまだ分かんないことが多い/クマにも大柄・小柄がある/
    クマには虫歯が多い/クマは泳いで湖水を横断する/泳いでるクマにやられた人がある

    ◆クマうち
    ◇秋グマ
    ――ナラの木に登っているクマ/下のやつぶっぱずしたら、もう一匹木の上にいた/
    秋グマ探すときはイヌを使わない/親が子を木に登らせる
    ◇穴グマ
    ――穴グマはイヌが見つけて吠える/イヌが吠えても出ねえやつがある/
    小っちゃなネコくれえの子を抱いていた/その子はかわいかったですよ(奥さんの話)/
    不発で危ないとこをイヌに救われた
    ◇出グマ
    クマは春、いきなり穴から出ないもんだ/子イヌに胆をいたずらされちゃった/
    本気で逃げ出したらクマは速いから/クマをとってから/クマは皮をむくのがいやだ/
    クマのバラし方/頭と内臓/肉と脂
    ◇夜とったクマ
    夜、ナラの木に登ってた/もう子のあるやつは撃つのをやめようと思った/
    ◇そして今は
    ――木は伐ったらだめだから/わしは薪の心配さえしてればいい/
    とうとう“仙人”にされちゃった。

    あとがき


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