きちんとわかるナノバイオ

●産業技術総合研究所 著 ●定価(本体1500円+税)  

近未来技術の開拓と挑戦!



IT社会を実現させた微細加工技術=ナノテクノロジー。
それは10億分の1m(ナノメートル)の“世界”をつくり上げる方法論だ。
一方、バイオテクノロジーは、DNAやタンパク質など、
大きさがナノメートルの生体分子を操作してきた。
これら二つの流れが融合し、ナノバイオというまったく新しい
近未来技術が誕生しようとしている。



産業技術総合研究所 著   著者紹介
きちんとわかるナノバイオ
  はじめに
     目次
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IT社会を実現させた微細加工技術=ナノテクノロジー。
それは10億分の1m(ナノメートル)の“世界”をつくり上げる方法論だ。
一方、バイオテクノロジーは、DNAやタンパク質など、
大きさがナノメートルの生体分子を操作してきた。
これら二つの流れが融合し、ナノバイオというまったく新しい
近未来技術が誕生しようとしている。


  • 四六判  並製
  • 253ページ
  • 定価(本体1500円+税)

  • ■著者紹介

    第一部
    森山和道(もりやま・かずみち)

    第二部
    第一章
    湯元昇(ゆもと・のぼる)

    第二章
    上田太郎(うえだ・たろう)
    久保泰→第八章参照

    第三章
    小高正人(こだか・まさと)
    川崎一則(かわさき・かずのり)

    第四章
    達吉郎(たつ・よしろう)

    第五章
    森垣憲一(もりがき・けんいち)
    金高健二(きんたか・けんじ)
    渡辺歴(わたなべ・わたる)

    第六章
    田中丈士(たなか・たけし)
    岡田知子(おかだ・ともこ)

    第七章
    芝上基成(しばかみ・もとなり)
    小川昌克(おがわ・よしかつ)

    第八章
    久保泰(くぼ・たい)
    弓場俊輔(ゆば・しゅんすけ)
    田和圭子(たわ・けいこ)



    ■目次




    はじめに――「ナノバイオ」とはなんだろうか 9 第一部 ナノバイオを開拓する ――語り手:湯元昇、上田太郎                    芝上基成、森垣憲一                    久保泰、小高正人 細胞のなかで行われていることを再構築する 14 回転するナノマシン 18 天然に学びつつ、天然を超える 35 膜界面の非平衡状態 48 神経機能タンパク質 61 分子認識が、生命現象の本質 78 第二部 ナノバイオへの挑戦 第一章 ナノバイオの潮流 86 ナノテクノロジーの発展とナノバイオロジー、ナノバイオテクノロジー ボトムアップ型ヘの期待/ナノバイオロジーの進展 ナノバイオテクノロジーを支える生体分子の重要な特徴 @自己組織化/A分子識別/B高効率  ナノバイオテクノロジーのケーススタディー 97 @米国MITのベルチャーらの研究/A産総研におけるナノバイオマシンの構築 研究の進展と社会の受容 第二章 生体分子モーターで駆動するナノアクチュエータ 105 ゾウリムシを作り上げているナノ素子/ナノデバイス作成における問題点  精製運動タンパク質を使った微小輸送系 108 キネシンと微小管/生体外で、キネシンを動かすか、微小管を動かすか 一方向性の運動を世界で初めて実現/精製タンパク質を使った微小デバイスの限界 自己組織化にもレベルがある/単純な自己組織化のアプローチ 方策さえ見えない高次の自己組織化 生細胞や組織を組立ずみ微小デバイスとして使う/滑走バクテリア バクテリアが駆動するモーターを開発  生体分子モーターにスイッチをつける 125 第三章 DNAを選別して運搬するナノバイオマシン 129 自己組織化の基礎となる分子認識/DNAのハイブリッド形成機能 キネシン‐微小管系の輸送機能/微小管を修飾する ナノバイオマシンの試作/ターゲットDNAの捕らえ方 DNAの定量から、その先へ  生きている細胞の形を電子顕微鏡で見る 141 第四章 光による生理活性の制御技術 145 ナノバイオマシンの制御機構/生理活性を光で制御する ニトロベンジル基/ケージドペプチド/ケージドペプチドの化学合成法 ケージドペプチドによるチップテクノロジー ケージドペプチドによるナノバイオマシンの制御/将来展望 第五章 人工生体膜チップの製造技術 161 バイオチップとは/生体膜の構造と構成分子/人工生体膜を集積したチップ @脂質二分子膜を基板表面に平面状に固定する方法 A膜タンパク質を脂質二分子膜中に一定方向に配向した形で結合する方法 B親水性高分子スペーサーを介して基板に膜を固定する方法 C膜内分子の側方拡散を遮るバリヤーにより、人工生体膜を区画化(パターン化)する手法 産総研の手法/研究への応用化  ナノインプリント技術 179  細胞内ナノサージェリー 181 第六章 カーボンナノチューブの医療応用 183 ドラッグデリバリーシステムとは 期待のナノ材料、カーボンナノチューブ カーボンナノチューブのナノバイオ分野での応用 カーボンナノチューブの医療応用に関する研究状況  超好熱菌由来タンパク質を使う 190 プレフォルディンでカーボンナノチューブを安定分散 一〇〇℃でもゆであがらない生物、超好熱菌 タンパク質の修理屋、シャペロン/プレフォルディンを調製し、機能を実証 カーボンナノチューブDDSの今後の課題  がん骨髄転移診断技術の開発に向けて 198 骨へのがん転移/ミエローマ細胞による破骨細胞誘導増強 骨髄高転移性乳がん細胞の樹立/ナノバイオへの応用 第七章 新しい人工生体膜の創製 203 生体膜の構造とリポソーム/脂質二分子膜の欠点 生物に真似ぶ/古細菌への着目/古細菌膜脂質に真似ぶ分子設計 人工環状脂質の合成に成功/C20によるリポソーム 脂質チューブ/ファイバーとジアセチレン重合 人工環状脂質の分子配列/鎖を延長した人工環状脂質 オープンエンドチューブとクローズドエンドチューブ 人工環状脂質の将来展望  インフルエンザウイルスの侵入とスパイクタンパク質 224 第八章 バイオセンサー 227 においを認知する仕組み アメフラシ神経系からアセチルコリン結合タンパク質を発見 アセチルコリン結合タンパク質を用いたコリン作動性薬バイオセンサー 受容体サブタイプ識別バイオセンサー  DDS開発に用いる次世代実験動物、メダカ 238  表面プラズモン増強蛍光法 241 表面プラズモン共鳴と増強蛍光法/DNAの一塩基対検出と膜構造解析 著者紹介 245 参考文献 253


    まえがき



    はじめに――「ナノバイオ」とはなんだろうか

     ナノバイオテクノロジー(ナノバイオ)は、急激な発展を遂げているナノテクノロジー
    と、過去数十年にわたってさまざまな知見を蓄積してきたバイオテクノロジーとが
    融合することによって生まれた新しい研究分野である。
     ナノバイオとは何か――最もわかりやすい例が、映画『ミクロの決死圏』に登場する「プ
    ロテウス号」であろう。高度の機能を持った潜水艦を、血管の太さよりも小さくし、
    国家の命運を握る瀕死の科学者を救う物語である。この映画が作られた四〇年前は
    もちろん夢物語であったが、いまや「もしかしたらいずれはプロテウス号のような
    微小治療マシンができるのでは」と思わせるほどナノバイオテクノロジーは進歩し
    ている。
     一滴の血液でその人の病気を即時に診断し、かつ将来罹るであろう病気も予言してしま
    うような診断システムもまた、ナノバイオテクノロジーの一つの目標である。さら
    にタンパク質の精緻な分子認識能を利用して、従来のシステムを超えるバイオセン
    サーも期待されている。
     独立行政法人 産業技術総合研究所広報部が刊行している研究用語を解説した辞書「産
    総研dex」では、ナノバイオという言葉を次のように定義・解説している。

    【ナノバイオ】 ナノバイオという用語には基礎科学として、ナノメートルサイズの生体
    分子であるタンパク質、核酸などを研究する「ナノバイオロジー」と応用技術であ
    る「ナノバイオテクノロジー」が含まれる。ナノバイオロジーは生物学の中に含ま
    れるが、ナノバイオテクノロジーはバイオテクノロジーに含まれるのではなく、ナ
    ノテクノロジーとバイオテクノロジーとをつなぐ技術と考えられる。生体分子のも
    つ自己組織化能のような利点がナノテクノロジーの欠点を補うことができると考え
    られているからである。
     ナノバイオテクノロジーにはさらに、「ナノテクからバイオ」の方向と「バイオからナ
    ノテク」の方向がある。前者はDNAチップなどに代表されるように、ナノテクノ
    ロジーを利用した生命現象、生体分子解析である。これに対して、後者は生体分子
    の特徴を利用してナノテクノロジーを構築しようとするもの。
     バイオテクノロジーとIT、ナノテクノロジーの融合により二〇年後の市場は現在の一
    〇〇〇倍に拡大すると予測されているが、前者が既存市場を拡大するのに対して、
    後者は新規市場を創成すると考えられている。

     一ナノメートルは一メートルの一〇億分の一。原子数個分程度の長さだ。ナノバイオを
    かみ砕いていうと、微小なサイズで機能する分子の持つ機能をうまく引き出して、
    新たな技術基盤を作ろうという試みのことである。本書ではこのうち、主として「ナ
    ノバイオテクノロジー」について扱う。そのなかでもさらに、「バイオからナノテ
    ク」の方向性を中心として研究を行っている産総研の研究者たちが、自分たちの研
    究を紹介する。
     産総研では文部科学省の「科学技術振興調整費 新興分野人材養成プログラム」により、
    産総研ナノバイオ分野人材養成ユニットを平成一五年度に立ち上げた。生物や化学、
    材料、ナノテクなど融合分野で研究開発を推進できる、即戦力となる人材を養成す
    るためのユニットだ。講義や技術講習に加えて、研究実習により実践的に技術・知
    識を被養成者に習得させてきた。本書はそこで行われた研究の一部も紹介する。
     そもそも「生体分子の特徴を利用してナノテクノロジーを構築しよう」とはどういう意
    味なのか。どんなアプローチがあり、具体的にはどんな研究が行われているのか。
    そして何より、研究者たちはどんなことを考えているのか。ナノバイオ研究の「現
    在」を感じていただければ幸いである。

    二〇〇八年二月                              著者
    ◇産総研ナノバイオ分野人材養成ユニット http://unit.aist.go.jp/rice/link/nanobio/index.html


     




















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