きちんとわかる計量標準

●産業技術総合研究所 著 ●定価(本体1500円+税)  

「はかる」は経済と産業の基盤



身長1.7 m、質量5 kg、気温25 ℃、電圧100 V……
どんな計器やものさしではかっても、いつも結果は同じになる。
ふだん気がつかないが、日本そして全世界の「計量標準」が、
専門家によって常に維持・精密化されているからである。
そこは、人類最高の計量技術が、縦横に展開される世界だ。


産業技術総合研究所 著   著者紹介
きちんとわかる計量標準   まえがき
     目次
     産総研ブックスについて
  正誤表
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身長1.7 m、質量5 kg、気温25 ℃、電圧100 V……
どんな計器やものさしではかっても、いつも結果は同じになる。
ふだん気がつかないが、日本そして全世界の「計量標準」が、
専門家によって常に維持・精密化されているからである。
そこは、人類最高の計量技術が、縦横に展開される世界だ。


  • 四六判  並製
  • 440ページ
  • 定価(本体1500円+税)

  • ■著者紹介

    著者紹介 第一部
    松尾義之(まつお・よしゆき)

    第二部
    第一章
    池上健(いけがみ・たけし)

    第二章
    大苗敦(おおなえ・あつし)
    美濃島薫(みのしま・かおる)

    第三章 
    大岩彰(おおいわ・あきら)

    第四章
    藤井賢一(ふじい・けんいち)

    第五章 
    菊池恒男(きくち・つねお)

    第六章
    堀内竜三(ほりうち・りゅうぞう)
    高橋弘宜(たかはし・ひろのぶ)

    第七章
    臼田孝(うすだ・たかし)

    第八章
    山田善郎(やまだ・よしろう)

    第九章
    吉田春雄(よしだ・はるお)

    第一○章
    齋藤 輝文(さいとう・てるぶみ)

    第一一章
    桧野良穂(ひの・よしお)

    第一二章
    岡本研作(おかもと・けんさく)


    ■正誤表




    ●きちんとわかる計量標準1版2刷(1版1刷とも) 【正誤・改訂表】 142ページの図=内容の誤りではありませんが、本文との整合性をとるため、状態を表す矢印の方向をすべて逆転させます。 p142図1・3 143ページの最終行 状態2→状態1 144ページ2行目 状態2→状態1 144ページ5行目 して、低い状態2から高い状態1へと遷移する。 →して、低い状態1から高い状態2へと遷移する。 144ページ6行目 状態1→状態2 ●きちんとわかる計量標準1版1刷【正誤・改訂表】 40ページ1行目 下から13文字目の0を削除 211ページ後ろから3行目 JIS B7609-2006 → JIS B7609-2008 214 ページ11〜12行目 〇・〇〇三グラム〜〇・〇〇九グラム →〇・〇〇三立方センチメートル〜〇・〇〇九立方センチメートル 221ページの表3・3 E2の体積の値 121.8〜123.0→121.8〜128.0 磁化(最大磁気分極)の単位に μT を追加 222ページ6行目 JIS B7609-2006 → JIS B7609-20008 二〇〇六年版→二〇〇八年版 222ページ10行目 下から3文字目の校正証の前に E2クラス分銅とともに を挿入 273ページ6行目 周波数範囲域→周波数帯域

    ■目次




    はじめに 11 第一部 計量標準に取り組む研究者たち ――語り手:菊池恒男、堀内竜三、高橋弘宜                        臼田孝、池上健、大苗敦、美濃島薫                        大岩彰、藤井賢一、山田善郎                        吉田春雄、齊藤一朗、齋藤輝文                        桧野良穂、岡本研作 超音波の安全性を確保するために 22 聞こえる音、聞こえない音をはかる 36 生活に密接に関係する音響と振動 50 標準の中の標準 63 光の世界の大革命 70 天秤と分銅にまさるものなし 77 キログラムの再定義へ 84 コペルニクス的発見 92 電気標準を産業・社会へ 102 「人間」が入り込んだ計量標準 110 ガンの放射線治療を支える標準 118 安心安全を支える標準物質 129 第二部 究極の計量標準を求めて 第一章 時間をはかる――周波数標準 136 秒の定義の変遷 138 秒の定義の実現――セシウム原子時計 141 原子時計が刻む時――時刻比較、国際原子時、協定世界時 149 さらに高精度化する「時計」 153 第二章 長さをはかる――長さ・距離標準 157 長さの単位、メートルの定義 157 光コム技術――精密計測における真のイノベーション 165 光コム技術の応用例――光コム距離計 172 コム距離計 176 第三章 質量をはかる――質量標準 187 質量と質量計測 187 質量の単位 190 はかりと天秤 194 原器用天秤 198 原器の特性解明 203 質量標準実現のための技術課題 207 標準分銅(JIS分銅) 218 第四章 キログラムの再定義――新しい質量標準の開発 223 進化する単位 223 X線結晶密度法 231 ワットバランス法 236 SI基本単位の同時改定案 244 第五章 水中超音波をはかる――超音波パワー標準 249 超音波のヒトに対する安全性 249 超音波が人体に与える影響 250 超音波パワー計測(天秤法) 252 NMIJの天秤法システムの概要 256 超音波パワー測定における不確かさ要因 260 技術の向上をめざして 263 第六章 人に聞こえない音をはかる――音響標準 265 音響標準の供給範囲を可聴周波数帯域外へと広げる意義・必要性 267 周波数帯域ごとに異なる音響標準の校正技術 270 諸外国における可聴周波数帯域外での音響標準の開発状況と今後の展開 280 第七章 振動や加速度をはかる――振動加速度標準 283 どこで使われているか 284 振動量の計測――相対測定と絶対測定 286 相対測定と絶対測定を結びつける「校正」 289 校正装置 292 振動加速度標準の国際的現状と標準供給体系 296 第八章 温度をはかる――高温度標準の開発 301 温度定点はなぜ必要か 301 温度定点の役割 304 高温の温度定点 310 将来の国際温度標準をめざして 321 第九章 電気量をはかる――さまざまな電気標準 327 量子電気標準 329 ジョセフソン効果 331 量子ホール効果 336 実用電気標準 340 第一〇章 光の強さを定量的にはかる――光検出器標準 355 光計測の予備知識 355 光検出器感度の定義 358 半導体フォトダイオード 360 極低温放射計 367 正確な測定をするために 369 光の計測――要点 374 今後の課題と展望 376 第一一章 放射線・放射能をはかる――放射線・放射能標準 379 放射線と放射能 380 放射線・放射能に関する単位 382 X線標準 386 γ 線標準 390 カロリメータによる治療レベルのγ線吸収線量標準開発 392 β 線吸収線量標準 395 放射能標準 396 純α/β核種放射能標準 403 放射能面密度および荷電粒子放出率標準 404 中性子放出率 406 熱中性子フルエンス率 407 速中性子フルエンス 409 第一二章 環境中の汚染物質をはかる――標準物質の開発 413 化学分析における標準物質の役割 413 一次標準測定法による標準物質の値付け 416 同位体希釈質量分析法の原理と特長 417 底質標準物質中の微量元素の精確な定量 419 標準物質の国際相互承認に向けた国際比較 422 有害金属分析用NMIJ底質標準物質 424 底質標準物質中PCBの値付け 425 PCB分析用のNMIJ「海底質」標準物質 429 著者紹介 431


    まえがき



    はじめに

    はかる道具と計量、そして計量標準
     身長一・七メートル、質量(重さ)五キログラム、気温セ氏二五度、電圧一〇〇ボルト
    ……。長さ、質量、温度、時間、電圧、明るさなど、私たちは日常生活のありとあ
    らゆる場面で、さまざまな量をはかっている。そして、例えば、ものさし(ものの
    長さを差し計る道具)、はかり(質量を量る道具)、時計(時刻や時間を計る道具)、
    温度計(温度を計る道具)などと呼ぶように、そこには必ず「はかる道具」がある
    。このように、はかる道具で何らかの量をはかることを広く「計量」と呼んでいる。
     ここで重要なのは、このような「計量」によって、日本国内に限らず、世界中で同じ結
    果が得られるようになっている点だ。日本で日本の計測器を使ってはかった一メー
    トルのものは、アメリカやフランスで、それぞれの国の計測器を使ってはかっても
    同じく一メートルを示す。しかし、これは決して「あたりまえ」のことではない。
    計量に携わる人々の行為によって、同じになるような仕組みができているからそう
    なっているのだ。そこで大事になるのが標準あるいは基準(スタンダード)であり、
    それが「計量標準」ということなのである。
     世界中の計量が「同じになるような仕組み」とは、まさに「仕組み」そのものである。
    メートル条約に基づいて、国際度量衡総会(CGPM)、国際度量衡委員会(CI
    PM)、事務局である国際度量衡局(BIPM)という組織があって、それらによ
    って、各国の国家計量標準が一致するような仕組みを維持しているからである。こ
    のような努力によって初めて、世界中の計量が「同じ」となっているわけだ。
     地球上では無数の工業製品が作られている。中国やインドで作られた部品は日本に輸入
    され、自動車に組み立てられて、それが地球の隅々まで行き渡る。こうした地球規
    模の産業活動が可能になるのは、その基盤に「計量標準」がきちんと確立されてい
    るからである。もちろん、技術の進歩に伴って必要な精度は向上するから、「計量
    標準」にも進歩が要求されている。
     こうした意味で、計量標準はまさに現代社会における「経済と産業の基盤」と言ってよ
    い。本書の目的は、このふだんは気がつかないが極めて重要な役割を担っている「計
    量標準」の各分野において、それぞれどんな取り組みが進行中であるかを伝えるこ
    とにある。

    計量標準は経済と産業の基盤
     もう少し具体的に、例えば大工さんが家を建てるときを考えてみよう。設計図ができた
    あと、柱の太さや長さを決め、さらに、ほぞ穴の形など、すべて作業場で加工され
    る。そのあと、現場で組み立てられ、棟上げ式を迎える。窓枠サッシも、遠く離れ
    た工場で作られたものが、きちんと枠組みにはまる。
     こうした作業がうまくいくのは、もちろん一つ一つ、きちんと長さ寸法をはかって作ら
    れているからである。同じように、私たち人間による「ものづくり」では、ありと
    あらゆる場面で何らかの「ものさし」が使われている。長さだけでなく、重さ(正
    確には質量)、時間など測定対象はさまざまである。色にしても、同じ色の車塗装
    ができるのは、その色をはかっているからである。「はかる器械」なくして、意味
    のある工業製品を作ることはできない。
     そのはかるための道具を、広い意味での「ものさし」と呼ぶことが多い。もしこれらの
    ものさしが違っていたら、こうしたことがうまくいかないのは明白であろう。
     どこのどんなものさしではかっても、結果は同じものが得られる。くり返しになるが、
    それは、もとになる基準があって、そこから正しく移されていく仕組み(トレーサ
    ビリティー)がきちんと確立されているから、そうなっているのである。そしてそ
    のおおもとの基準が「計量標準」という存在なのである。

    工業規格(工業標準)
     ここでちょっとややこしいのは、「計量標準」と非常によく似た言葉があることだ。そ
    れはISO(国際標準規格)、JIS(日本工業規格)といったものである。これ
    らもまた、国際機関や標準化団体による公的な規格(標準)である。工業規格(あ
    るいは工業標準)というのは、もともとは、製品の互換性や性能保証をするために、
    特性とか寸法を定めたものだが、いまでは、品質管理や情報セキュリティーなどの
    取り決めも含まれるようになっている。また、デファクト(事実上の)スタンダー
    ド(標準)という言葉もあるが、これは、市場の実勢によって事実上の標準と見な
    されるようになった規格・製品のことだ。
     こうした「標準」は、言葉のニュアンスとしては、標準体重、標準語などに使われる「標
    準」に近い意味を持っている。大工さんの例だと、柱の太さが何種類かに決まって
    いることとか、窓枠が例えば高さ九〇センチメートル×横一八〇センチメートルに
    なっているといった場合の「標準」である。もちろん背景には、長さ一間(=六尺
    =約一八〇センチメートル)とか四寸角(=一辺が約一二センチメートル)といっ
    た歴史的伝統(一種のデファクトスタンダード)があるのは言うまでもない。
     本書で紹介する「計量標準」は、もちろん、こうした工業標準とは別物である。世の中
    では工業標準のほうがはるかにポピュラーなので、いわゆる専門家の間でさえ「計
    量標準は工業標準の一部」という誤った理解も見られるが、これはまったくの間違
    いである(ちなみに、日本薬局方、日本農林規格、JISなどのことを国家標準と
    いう言い方もする)。

    計量標準は日本国のものさし
     工業標準(工業規格)が製品の型(タイプ)や性能などを定めているのに対して、本書
    で紹介する「計量標準」とは、ものさしの基準ということである。つまり、日本国
    のすべてのものさしは、この「計量標準」に基づいて作られているのであって、だ
    から、工業規格の中に記述されている長さや質量などはすべて、この「計量標準」
    による値、という関係にあるのだ。そのようなすべてのものさしの国内基準を確立
    し、それを具体的に提供しているのが、産業技術総合研究所・計量標準総合センタ
    ー(NMIJ)ということである。
     それは、長さ、質量、時間、電流、温度、光度、物質量という基本七単位だけでなく、
    流量、電圧、周波数、密度、放射線、音響、標準物質など、日本の標準(かつての
    メートル原器のような「原器」に相当する装置)が、ほとんどすべて、ここNMI
    Jにあるという意味である。この「ものさし(計量)の基準」は、例えば計測器メ
    ーカーが製造する個々の計測器に正しく移され、それらの器械を通して、実際の工
    場などで正しく測定され、正しい寸法の製品が作られる、という仕組みになってい
    る。
     計量標準が正しく日本社会に流通するために、NMIJは「校正」というサービスを提
    供している。メーカーや検査機関の計測器が、計量標準に正しく則っているのかど
    うか、実際に「原器」と比較測定をして、そのわずかな値のずれを定める、という
    仕事である。多くの場合、ユーザーがNMIJに計器を持ち込み、校正を実施した
    あと返されるのである。
     このような仕組みで、NMIJの計量標準は、実際に現場で使われる計測器に移されて
    いく。このことを「国家計量標準にトレーサブル」と呼んでいる。
     もう一度くり返すが、こうしたすべての大もとが「計量標準」なのである。ちなみに中
    国語では「基標準=標準の基」という用語を使っているそうで、そのものズバリの
    表現と言えるかもしれない。
     いずれにせよ、「計量標準」は国家の標準であり、JISなどの国家標準という言葉に
    対して、国家計量標準という厳密な言い方をすることも多い。当然のことに、「計
    量標準」の研究開発を担っているのは、日本国内ではNMIJだけである。

    国際比較に参加するNMIJ
     いまや工業製品は世界中を流通する。ということは、日本の計量標準が、外国の計量標
    準と厳密に一致していることが求められているということだ。もちろん、そうした
    「国際比較」は常に行われており、そのための日本の代表機関がNMIJというこ
    とでもある。
     このような国際的な枠組みは、すでに述べたように「メートル条約」に基づいている。
    具体的な実施組織は、上から順に、国際度量衡総会(CGPM)、国際度量衡委員
    会(CIPM)であり、これらを実施する事務局が、パリにある国際度量衡局(B
    IPM)である。
     国際比較の基本的な考え方は、それぞれの国で持っている計量標準をお互いに認め合お
    う、というきわめて単純明快なものだ。その具体的な作業を担っているのがCIP
    Mであって、ここに、長さとか温度とか各単位の専門委員会が置かれている。そこ
    に参加するのが、日本ならNMIJの研究者というわけである。
     裁判官が法の番人であるとすれば、NMIJは計量の番人である。ところが単なる番人
    でなく、実際にその標準を流通させる仕事までも担っているところが、裁判官と違
    うユニークなところだ。常勤職員約三〇〇名、非常勤職員を含めて約四五〇名で、
    この重要な役割を担っている。

    ものづくりの根幹が計量標準
     ホモファーベル(工作する人)とは哲学者ベルクソンが呼んだ人類の別名だが、私たち
    の生活のありとあらゆる場面は、人間(の知性)が作り上げた人工物で溢れ返って
    いる。都市においては、もはや人工物以外のもの、つまり自然物をさがすほうがむ
    ずかしい。街路樹でさえ、園芸会社によって手入れ・管理されており、完全な自然
    物とは言いがたい。
     人工物を作ったり保守・管理するためにどうしても必要なのが道具である。だから、ホ
    モファーベルというのは「道具を作る人」という意味に限定して使われることもあ
    る。人間は、ほとんどすべての人工物を道具を使って作っている。もちろん、その
    道具を作る道具さえ作り出す。道具なしの「ものづくり」が存在しえないのは、ほ
    とんど常識であろう。
     道具にはたくさんの種類がある。そうした中で、切ったり穴をあけたりするような直接
    的な道具のほかに、「はかる」ための道具というものがあり、この「はかる道具」
    なくして、衣食住すべての場面で登場する人工物は存在しえないことを、本書を通
    じて理解していただければと願っている。しかも、微細加工や極超短パルス光など
    を見るまでもなく、その最先端は常に変化し、拡大している。
     ジョセフソン素子、量子ホール効果、レーザー冷却、光コムなど、計量標準の分野から
    多くのノーベル賞が生まれてきた。あるいは、最新の科学の研究成果が、計量標準
    というものさし技術に活かされてきた。このことは、計量標準というジャンルが、
    人間の知のフロンティアにほかならないことを、雄弁に物語っている。そしていま、
    かつてのメートル原器のような具体的な「もの」による計量標準から、より普遍的
    な物理現象に基づいた計量標準(基礎物理定数に基づく標準)への移行努力が続け
    られている。
     本書に紹介したのは「計量標準」の一部でしかないが、これらを通じて、ものづくり、
    ひいては人間の創造行為の根幹である「計量標準」の一端を、ご理解いただければ
    幸いである。

    二〇〇七年七月
                                         著者  追記  本書はシリーズ「産総研ブックス」の一冊であり、解説書としての読みやすさを優先して、
    縦書きの文章となっている。そのため、ローマン体、イタリック体などのフォント設定に関して、
    国際単位系の表記方法のルールを遵守できていない部分があることをご了承願いたい。
     


    産総研ブックスについて




    産総研ブックスについて  科学技術力の向上は人類が抱える諸問題の解決に必要不可欠である。そのための研究は、
    知識の獲得だけでなく、産業を通じて技術をどのように社会に役立たせるかという
    側面が重要になる。このような背景のもと、平成一三年四月、「社会のための科学
    技術を生み出す創造的研究者集団」としての独立行政法人産業技術総合研究所(産
    総研)が誕生した。
     産総研は、先端技術による産業競争力強化と新産業創出、国が自ら取り組むべき困難で
    長期的な課題の解決、産業技術を支える知的基盤整備という三つのミッションを担
    い、総合的な研究活動を進めている。
     具体的には、知識の発見・解明をめざす基礎研究(第一種基礎研究)、異なる分野の知
    識を幅広く選択、融合・適用する基礎研究(第二種基礎研究)、そして直接社会に
    利用される技術への開発研究(製品化研究)、といった三つの段階を、第二種基礎
    研究を軸として連続的に行う研究方法を「本格研究」として提案し、実施してきた。
    第二種の「基礎研究」と呼ぶのは、得られた結果を普遍的なかたちで科学的に記述
    することにより、後に続く研究者に有効に利用され、使用知識の体系化がなされる
    ことを意識しているからである。
     産総研での研究は、ライフサイエンス、情報通信・エレクトロニクス、ナノテクノロジ
    ー・材料・製造、環境・エネルギー、地質、標準・計測、など、その分野は多岐に
    わたる。
     「産総研ブックス」の刊行にあたっては、世界水準の個々の研究の最前線を伝えるとと
    もに、研究の意義や将来性、あるいは社会や産業とのかかわりについても紹介する
    ことを強く心がけた。科学技術とくに産業技術の重要性が広く深く日本社会に認識
    されることを願う。

    独立行政法人 産業技術総合研究所













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