実践デジタルものづくり――エレクトロニクス産業におけるPLM

●上野泰生著 ●定価(本体2400円+税)  

電機・電子メーカー復活への最強メソッド!



メーカー各社にとって最適化された
デジタルものづくり環境を構築すれば、
内在化している能力を最大化し、
中国や韓国のメーカとは一線を画した強力なものづくりが実現できる。
本書は哲学や願望でなく、すぐ使える“具体論”を提示する。


上野泰生著   著者紹介
実践デジタルものづくり   はじめに
     目次
     あとがき
  初刷誤植訂正
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電機・電子メーカー復活への最強メソッド!
メーカー各社にとって最適化された
デジタルものづくり環境を構築すれば、
内在化している能力を最大化し、
中国や韓国のメーカとは一線を画した強力なものづくりが実現できる。
本書は哲学や願望でなく、すぐ使える“具体論”を提示する。


  • A5判  上製
  • 190ページ
  • 定価(本体2400円+税)

  • ■著者紹介

    上野 泰生(うえの・やすお)
    1962年 大阪生まれ
    1985年 大阪工業大学経営工学科卒業
    (株)図研入社
    1996年 ダイナミック・ソリューション事業部設立
    同統括マネージャ
    2001年 取締役就任
    2005年 取締役営業本部長兼 3D ソリューション事業部長

    連絡先メール:yueno@zuken.co.jp


    ■目次




    はじめに 6

    第1章 モノづくりパラダイムの変化 13

    直面する重要課題とその対応策 14
    1−1 製品の高度化にともなう品質の確保 18
       高速回路がもたらす問題 19
       電気と機構の関係 22
       組み立て、検査の難しさ 25
    1−2 環境規制による製造・部材調達プロセスの見直し 27
    1−3 開発リードタイム短縮、多品種変量生産 32

    第2章 開発プロセスとサプライヤ 37

    開発プロセスをダイナミックにとらえ直す 38
    2−1 商品企画〜構想設計 41
    2−2 構想設計〜詳細設計 42
    2−3 プリント基板設計 45
    2−4 試作・評価 47
    2−5 製造 48
    2−6 上流プロセスのインパクト 50
    2−7 EMSの存在 53

    第3章 電子部品 57

    コストの大半を占めるのは電子部品 58
    3−1 部品パッケージ技術の進化 61
    3−2 電子部品ビジネスの現状 64
    3−3 購買代行 67

    第4章 電子部品情報管理 69

    部品情報管理のしかたと活用方法 70
    4−1 ソーシング 73
    4−2 部品品目情報管理 75
       技術情報 77
       製造情報 79
       調達情報 81
       品質情報 83
       環境情報 84
    4−3 ライブラリ、解析モデル 85
       回路シンボル 87
       フットプリント 89
       解析モデル 90
       実装ライブラリ 92
    4−4 電子部品情報のクレンジング 93
    4−5 電子部品情報コンテンツ 94
    4−6 3D モデルによるライブラリ一元管理の試み 97

    第5章 部品表 103

    部品表の活用が設計とサプライチェーンを改善する 104
    5−1 デザインレビューでの活用 107
    5−2 部品表の自動生成 111
    5−3 三点照合 116
    5−4 構成情報の逆展開 119

    第6章 デジタルモックアップ 123

    ハードウェア設計プロセスが変わる 124
    6−1 伝送線路解析 126
       伝送線路シミュレータ 129
    6−2 製造性検討 134
       DFM検証ツール 135
    6−3 電気−機構間のコンカレントエンジニアリング 139
       リジッドPCB 140
       FPCの3次元展開 144
       セット全体での解析 146

    第7章 デジタルショップフロア 149

    多品種変量生産の現場 150
    7−1 製造準備工程の効率化 153
    7−2 図面配信 156
    7−3 実装の最適化 158
    7−4 検査の最適化 161
    7−5 品質管理 164
    7−6 トレーサビリティ 167

    用語解説 171

    あとがき 174

    参考文献 178

    索引 179



    はじめに



    ●専門書のため、図表を含めた序論なので公開しません。

    あとがき




    あとがき  私が、電子回路 CAD ベンダーである(株)図研(1976年設立)に入社した1980年代半ばは、
    折りしもエレクトロニクス製品へ表面実装部品の採用が一般化されはじめた時代であり、
    高精度なプリント基板を設計するために人手によるアートワークがCAD にとって代わられて行く真っ只中にあった。
     まさに今で言うところの、IT(プリント基板設計 CAD)による設計プロセス革新である。
     その当時、プリント基板設計 CAD の導入は一台1億円を下らない高額な投資であったが、
    エレクトロニクス業界は全般に好調で、大手メーカだけでなく、例えば産業機器を小ロットで
    受注生産しているような数十名〜数百名の企業規模から、数名でプリント基板設計を
    受託しているような設計ビューロまで、規模や業態に関わらず導入がすすんだ。
     当時私は営業として、数多くの企業に CAD システムを納めていく中で、現場担当者や
    経営者の方々から、製品開発上の課題をどうやって IT で解決していくべきなのか、
    システムへの要求と共にさまざまにご教授いただいた。
     各社が目指すモノづくりを集約すれば、試作無しで一発完動させ、
    その生産を垂直立ち上げするということに尽きる。
     電気設計だけをとらえてみても、この究極の目標は当時のソフトウェア技術や
    コンピュータのパフォーマンス、ネットワーク環境からするとほとんど夢物語であったのだが、
    その後 10 年の劇的な IT 環境の進化により、急速に現実味を帯びることとなった。
     これを受けて図研は、このビジョン実現の基盤となるデジタルモノづくり環境を
    構築する新事業を1996年に立ち上げた。ツールだけでなくプロセスの見直しなどの
    コンサルティングを同時に提供するという、当時全く新しいビジネスモデルの確立に成功し、
    以来今日に至るまでデジタルモノづくりを支える様々なソリューションを提供してきている。
     そのエレクトロニクス業界の今であるが、2000 年の IT バブル崩壊に次ぐリストラや
    中韓勢との熾烈な戦いに疲れ、全体的に自信を喪失しているようである。
    しかし日本企業の課題解決に取り組むエンジニアの姿勢、知識や経験に基づく設計・
    製造技術力の高さ、サプライヤも含めた製品開発のチームワークは、私が CAD や
    PLM ビジネスを通じて見るかぎり中韓のみならず欧米企業と比べても際だっており、
    その持てる力は今なお世界ナンバーワンであると断言できる。
     マスコミやアナリストは業績が落ち込むと経営戦略やマーケティング戦略の重要性だけを
    クローズアップする傾向があるが、一方で確固としたモノづくりの基盤があってこそ、
    これら戦略の議論が成り立つのだと私は考えている。
     金を出せば誰でも高性能なツールや設備を買うことができるし、即戦力の技術者や
    ノウハウも、スポットであれば今や世界中から買うことができる。しかし企業内で
    地道に構築したモノづくりのインフラや、その上で動いているプロセスを簡単に買って
    くることはできない。もちろん外から見てまねをすることは不可能である。
     本書で紹介したような新しいインフラの構築やプロセスの実装は簡単ではないが、
    裏を返せば一朝一夕で追いつけないということでもある。各社にとって最適化された
    デジタルモノづくり環境を構築できれば、内在化している能力を最大限発揮し、
    他社、とりわけ中韓のメーカとは一線を画したモノづくりが実現できると私は信じている。

     本書を上梓するきっかけとなったのは、東大ものづくり経営研究センターで2004年
    に行った講義である。これは同センターの特任研究員であり、サムスン電子の常務を
    9年間勤められた吉川良三氏からお話をいただいた。吉川氏とは、2000 年にサムスン電子
    への PLM ビジネスで訪韓して知り合って以来おつきあいいただいている。
     サムスン電子急成長の中、首脳としてその強さともろさを見てきた吉川氏は、
    日本のエレクトロニクスメーカの持つ本来的な強さは中韓メーカの比ではなく、
    その潜在的な力をもっと発揮させるべきだという信念を持って同センターで活動されている。
    そこで日本のエレクトロニクス産業を担当している研究員や先生方に対して
    電気設計プロセス全般についての講義を行ってもらえないかという依頼であった。
    大役に一旦は躊躇したものの、氏の意気に感じ、また業界に多少でも貢献できればと思い、
    引き受けることにした。
     講義の準備のため各種書籍や資料にあたったが、プリント基板設計や実装技術など
    部分的なテクノロジーに関する解説書や専門書はあっても、エレクトロニクス業界に特化し、
    なおかつ製品開発プロセスを俯瞰して課題や解決にアプローチしたものはほとんど
    見あたらなかった。やむなく私自身の今までの経験や、大して豊富ではない知識を手探りで
    集めて整理し、講義の資料としたのが本書の原型になっている。
     この経験を通じて、このようなモノづくりを研究しているセンターがあること自体、
    またその研究員の方々とのディスカッションに、私自身が非常に大きな刺激を受けた。
     その後、吉川氏や研究員の方から、私がこの業界で見聞きしたことを整理すれば、
    企業の IT 革新のヒントにもなるし、また研究者にとっては業界の全体像を知る
    時間の節約に役立つと、出版をすすめられたのである。

     本書をまとめるにあたっては、神戸大学の延岡健太郎教授からいただいた知見に
    大きく助けられた。延岡教授は同大学の経済経営研究所でモノづくりに関する様々な
    角度からの研究を行われていて、最近では情報家電産業を取り巻く環境変化に対応した、
    新しい技術・経営モデルの構築を目的とした産学官協同プロジェクト(情報家電・
    技術経営研究会)を主宰されている。
     あるセミナーでご一緒させていただいた際に、その中の講演で日本の製造業の特徴や
    製品のフレームワーク、自動車業界とのモノづくりの違いなどを非常に明快に説明いただき、
    自分のおぼろげであった知識や経験が整理され、そこからは一気に本原案を
    書きすすめることができた。  しかし実際に出版に至るまでには、調べなければならないことや
    集めなければならない資料は数多くあり、本当に多くの方々からご支援いただいた。
     特に船井電機 DVD プロジェクトの船越秀明氏、長野沖電気EMS 営業本部の柳澤忠志氏、
    オーエヌ電子社長の中山修氏からはエレクトロニクス業界の現場から、裏付けとなる
    数多くの情報や助言をいただいた。
     また図表や文中表現の正確性については、図研社員にずいぶん力を貸してもらった。
    伝送線路関係の説明では松沢浩彦氏に、部品情報に関する内容では横山義弘氏に監修
    してもらっている。そして図表については CAD 関連を末永真一氏より、PLM 関連では
    西山美奈子氏に、イラストや写真全般については小西朗子氏から、本文を補ってあまりある
    資料を提供してもらった。そして古くからの友人であるウルシステムズの麻生久光氏には、
    ドラフト段階から文章のコンテクストの狂いや、表現方法についてのチェックや示唆をもらった。
    ご協力いただいた皆様方に、この場を借りてお礼申し上げたい。

     最後になってしまったが、初めての出版作業を最後までこりずにおつきあいいただいた、
    白日社の松尾義之編集長と、このような機会をつくっていただいた吉川良三氏に、
    心から感謝を申し上げる。おふたりの励ましがなければ、
    この本が完成しなかったことは間違いない。
     たくさんの方々の協力によりでき上がった本書が、業界の発展に
    わずかでも貢献できれば幸いである。

     2005年初秋                上野 泰生


    初刷誤植訂正

    ★2刷以降は修正済みです★

    ●7ページ図説明下から2行目:
    思考→志向

    ●28ページ本文下から3行目:
    未だ確定してい重要な→未だ確定していない重要な

    ●54ページ図説明下から4行目
    プリント基板清掃→プリント基板製造








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