| 大沢文夫著 |
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| 飄々楽学 |
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世界のオオサワ、学問の真髄を語る!世界の生物物理学、バイオサイエンスを 開拓・リードする大沢文夫さんとその仲間たち。 ナノサイエンス、べん毛モーター、筋肉、高分子電解質……。 仔馬たちがのびのび育った伝説の“オオサワ牧場”の主人が、 60年に及ぶワクワクドキドキの研究とその未来を淡々と語る。 | |
『飄々楽学』目次
第1章 終戦直前の名古屋大学…………………………5
第2章 研究室(K研)の出発…………………………15
第3章 高分子の研究…………………………35
第4章 筋肉の研究へ…………………………53
第5章 アクチン研究…………………………65
第6章 日本生物物理学会と名大分子生物学研究施設…………………………93
第7章 研究テーマの拡がり…………………………111
第8章 バクテリアべん毛研究スタート…………………………123
第9章 生物物理分野の確立…………………………135
第10章 二冊の英文著書について…………………………149
第11章 講義の思い出…………………………157
第12章 モレキュラーマシン――生物は積木細工か…………………………167
第13章 柔らかい機械…………………………175
第14章 筋肉のすべりとATP分解――物理と化学…………………………189
第15章 ゾウリムシの行動の研究…………………………197
第16章 ミクロのゆらぎからマクロのゆらぎへ…………………………221
第17章 いろいろの研究室、いろいろの研究者…………………………235
第18章 生物物理学会のその後など…………………………249
第19章 バクテリアのべん毛モーター…………………………259
第20章 光学顕微鏡で見る…………………………273
第21章 すべり運動の分子機械――ルースカップリング…………………………289
第22章 伝統と研究の流れ…………………………301
第23章 いろいろなスタイルの講義…………………………313
第24章 自主・自発と状態論…………………………325
終章 これからの宿題…………………………335
あとがき…………………………339
人名索引…………………………345
白日社の松尾義之さんに僕の研究歴はほかの人と少しちがっていておもしろそうだから、
それを綴って本を作りましょうといわれて、その気になりました。
松尾さんに相手をしてもらって、研究を始めたころの昔話から、
時を追って主なトピックスについて次々に何時間も話しました。
それをテープにとって文章にしてもらいました。それに手を入れて並べかえたり、
書き加えたり、しやべりすぎたところは削ったりしてところどころ僕の書きおろした文章を加えて
全体ができ上がりました。
何しろ六十年にわたる研究生活ですから、思い出は山ほどあって次から次へと出てきて
つきることがありません。はじめから覚悟の上とはいいながら、
一つのじまん話になってしまいました。
まだまだ、研究室のみんなとのおもしろい研究の話がたくさんあるのですが、
本があまりに分厚くなるので一応これだけということにしました。
僕は手帳をもったことがないし、日記をつけたこともありません。
実験ノートが一、二冊のこってますが数字が並んでいるだけで今になっては
何のデータかもわかりません。計算ノートもどうも作らなかったようです。
そういうわけでこの本のなかみは全部、記憶によるものです。
いろいろまちがいがあるとは思いますが、確かめるための調査はしていません。
結局この本は現在の僕の頭の中の記憶をつらねた物語です。
終わりのほうには今考えていることも書きました。
僕は好きなことをやりたいようにやってきました。自分でそう思ってますが、
まわりの人たちも僕のことをそう思っているみたいです。僕がそのようにできたのは
全面的にまわりの皆さんのサポートと寛大さのおかげです。
長年にわたっていっしょだったなかま、しばらくだけいっしょだったなかま、
いままで研究生活をともにしたなかまがずいぶん大ぜいいます。
そのうち何人かはすでに亡くなりました。大井龍夫さんは二年半前に亡くなり、
その数年前に藤目智さん、今栄康雄さんが、また二年余り前に小林尚友さんが
亡くなりました。
妻安子はちょうど二年前に亡くなりました。この本を見せることができなくて残念です。
本のタイトルにある、“瓢々として”はかつて斉藤信彦さんが名大に流動研究員として
しばらく滞在された後で、僕らの研究を紹介する名文を書かれたとき(文芸春秋、一九六五年)、
研究室での僕の様子を描写するのに使われたことばです。
学を楽しむは僕の本音です。四字熟語風のタイトルにしようというのは松尾さんのアイデアでした。
タイトルに添えてある短い文は松尾さんの作です。
本の口絵、坊さんらしい人がねていて、猫が脚に乗って、子ども(妖怪?)が、よりそっている画は、
妻安子の兄富士正晴があるとき、僕に、といって描いてくれたものです。
この本に載せさせてもらいました。 この本をいい形で仕上げて下さった松尾さんはじめ関係のみなさん、
文章の追加整理を手伝って下さった池山智子さん、
本中の写真を提供して下さったみなさんに感謝します。
二○○五年五月 大沢文夫